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今かぐわしき人々 第271回
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    第271回:林家咲太朗さん(落語家)

    更新日:2026.2.16

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落語にはジェンダーとか差別とかない。
そういう落語の哲学で
みんなが優しい世界をつくりたい

 誰にでもわかりやすい話ぶりとほんわかな笑顔。目力強めの父親・林家たい平さんとは対照的な印象のある林家咲太朗さん。落語を志したいきさつ、入門してからの葛藤。これまでのことと、これからやっていきたい新しい落語についてまでを語ってくださいました。次世代の落語家として新たな人間探求が始まっています。

《1》大学3年の年末。『芝浜』で心を決めた

 新緑を思わせる緑の紋付きで登場した林家咲太朗さん。この日の着物は、成人式でつくってもらったものだとか。

「そのときは成人式で一度着てもう着ることはないだろうというので、たい平の寸法でつくったんです」

 当時は立教大学法学部に在学中。ところが、就職活動を始めて、職業の一つとして人を笑わせることを考えるようになった。

「どの業界に行くべきか、から考え始めて迷っていたんです。小さい頃からテレビにも親しんできたので、その制作というのも考えました。一方で表方に出ることにもだんだんと興味が湧いてきました。NSCとか、いろんな養成所の資料も請求していたら、友達に『何言ってんの。ちゃんと第一線で活躍している人が近くにいるんだから、その仕事にもっと興味をもってみたら』と言われまして」

 毎年、父・たい平さんの落語会は手伝いに行っていたものの、就活中の3年生の年末からはその心持ちが変わった。

「年末にその年の『芝浜の会』を観て、目指すのはこれなんじゃないか、と。落語は消費されないというか、人の心に残り続けるもの。そして誰かの活力になる。僕自身、毎年、年の瀬に『芝浜』を聴いて、来年も頑張ろうという気持ちにさせてもらっていたので。そうだよ、こんないい仕事はない、と思いました」

 林家たい平を、父を師匠にする。それはそれで、とても思い切りのいることだったに違いない。

「卒業式の日に入門をお願いしました。そのとき、最初の僕の伝え方が悪かった。『落語に挑戦したい』と言ったんですよ。そうしたら『俺たちは命かけてやってるんだ。挑戦とか、そんな生半可な気持ちでやれるもんじゃない』って言われました。それで『明日から修行だぞ』と」

 たい平さんが反対しなかったのは、理由があった。

「たい平自身も両親に反対されることはなかったからです。ただ『師匠としては止めたい気持ちはあるけど、親として子どものやりたいことを止めることはできない』と」。

林家咲太朗さん

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