自分の心を観察する。3年ほど前から、瞑想する習慣を始めた。
「不安な気持ち、イラッとする気持ち。子どもに対しても、感情的に怒ってしまう気持ち。そういう感情に、自分自身がよく飲み込まれていたんですよ。でも、その自分の感情を瞑想によって観察することにしたんです。何が原因で不安になっているのか、俯瞰して見られるようになりました。何事においても、陽でも陰でもない、真ん中の自分にいること。人生を通して経験し、探究してきましたが、今、この年になってようやく観察者になれた気がしています。もっともっとクリアになりたいですね」
真ん中の自分で、落ち着いてひとつずつを見つめる。毎朝、こんな習慣ももっている。
「両親を早く亡くしたので、うちには簡易的な仏壇があるのですが、毎朝、お線香を立てて、手を合わせています。お線香の香りは、落ち込んだり、不安になったときでも、心が落ち着くんです。ああ、日本人でよかったなあと思いますね」
そういう習慣があるのは、子どもの頃のこんな経験があったから。
「郷里は岡山ですが、どちらかというと田舎の方で、山の上にお墓があるようなところです。お寺が近くになくて、うちの祖父が僧侶の代わりに袈裟を着て、方々の家の法事にお経をあげに行っていたんです。そういう家だったから、毎朝、お線香の香りがあった。上京してそういうことはしていなかったんですが、両親が亡くなってから、私も毎朝のお線香をたくようになりました。白檀の香りとか、本当にとても落ち着きますよね」
化け子、という名前とは裏腹に、この人の心は何にも化けていない。自分の心を見つめ尽くして、今、本当の自分になった人なのだろう。
「化け子、というキャラがどう転がっていくか。それは怖さもあるけれど、新しいことに挑戦しながら見守っていきたいと思います。これからも美容ありきで、見てくれる人たちが老化やネガティブな要素がありつつも『私って可愛いな』と思ってもらえたらと思います。もともと、私自身、自己肯定感が低かった。でもそれは上げられるんです。みんなの自己肯定感を上げるのが、最大の目標ですね」。
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取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1
撮影 萩庭桂太
1966年東京都生まれ。
広告、雑誌のカバーを中心にポートレートを得意とする。
写真集に浜崎あゆみの『URA AYU』(ワニブックス)、北乃きい『Free』(講談社)など。
公式ホームページ
https://keitahaginiwa.com